水曜のことになりますが、大学のある授業の一環で、Mozilla Japanの瀧田代表から、オープンソースに関する講演(授業という扱いですが)を聞くことができ、そのレポートをブログに掲載しても良いかとたずねたところ、快諾していただきました。
ということで、いつもの勉強会のレポート形式で、聞いてる途中でメモのようにガリガリ書いて行ったものですが、レポート。
まぁ長いので、最初にまとめておきますが、
瀧田代表のプレゼンはかなり素敵でした。比べるわけではないけど、やはり文字だらけのスライドを並べ、それを読むだけ、という形のプレゼンと比べてしまうと・・。w
話の内容は、Mozillaのことを中心にオープンソース業界全体の話、という感じでした。もちろん対象は普通の学生なので *1、小難しい話はありませんでしたが、ブラウザ戦争の話なども聞くことができて、大変面白い授業でした。
というわけで、以下まとめ。
講演:
「ソフトウェア業界を揺るがしたオープンソース」
〜世界はオープンソースに覆われている〜
瀧田代表の自己紹介
- 大学自体は 生化学(酵母菌の研究)
- 大学を出て勤め始めて初めてコンピューターを触った
- COBOLから (大型汎用機を使っていた) → 性格に合わなかった →2年くらい
- そのころ,汎用機にUNIXの1号機を触った → UNIXとの出会い
- 不得意な仕事 → プログラミング
- ネスケ3くらいに,アメリカで開発やっていた(コミュニケーターのころ)
- ブラウザ
- あらゆるものがインターネットにつながっている.携帯や家電も.
大まかな歴史
〜1990
1990〜2000
- 色々な企業が,「ソフトウェアを売る」 という形でビジネスを展開してきた
- ハッカーの存在
- 自分が作ったソフトウェアを公開するのが当たり前
- 今主流の,オープンソースでやっているような形が当たり前だった
- ハッカーの大半は大学の学生や企業の研究員
- 新しい技術の裏側には必ずハッカー天才プログラマの存在
インターネットの時代
- ブラウザの存在
- インターネットの可視化
- インターネットの可能性を広げた
- オープンソースソフトウェアの開発に欠かせない
ブラウザの進化
第一期
- Mosaic
- イリノイ大学の学生:マーク・アンドリーセンらがフリーで開発していた
- しかし,「これはビジネスになりそうだ」と目をつけた,ジム・クラークにより「Mozaic Communication」が設立
- このとき,ライセンス供給,NetscapeとMicrosoftに.
- このときから,クローズドな世界に.
- 最初は,Netscapeのシェアが爆発的.→ IPO →大もうけ
- シェアの争い
- 標準化争い
- お互いの「ネスケでしかできないこと」「IEでしかできないこと」を乗せたりなんだりしてやりあった
- 1998年,ネスケ倒産
第二期
- 瀧田さんネスケで働いてた
- 「インターネットというのは,世界がつながっているものであって,共通の言語(英語)だけ使えればいいでしょ」(マーク・アンドリーセン)
- →でもユーザが増えてきた。みんな母国語で使いたい。
- 1998年
- ネスケ5の開発どうしようか?という話になった
- 社内の人数はかぎられている.外の人たちの知恵を集める
- オープンソース化
- バージョン5?
- 外の人からのアドバイスや改変が重なりに重なり,5の原型がなくなった.
- ということで4→6
- ソースを公開して6年間くらい→こんなんで良いのか時代
- エンジニアたちは,試行錯誤を続けていた→2004年 Firefox誕生
さまざまな形でプロジェクトが派生
- Firefox
- もし企業がやっていたら,サポート終了したらバイナリしかのこらない
- →OSS:ソースが公開されている限り,改善され続ける
ソフトウェア業界の変化
- パッケージソフトのビジネスに変化
- これまでのビジネスモデルが崩れてきている→ユーザはハッピー
ソフトウェア開発にも変化
- 従来の開発体制
- トップダウン形式の開発
- 開発者ががんばっても,会社としてOKでないとダメだったりとか
- オープンソースの開発体制
- コアメンバー
- 一般貢献者
- 企業内でこういう形態をとるようなところも増えてきた
オープンソースビジネス〜アイデア次第で...〜
OSSを企業が使うメリット
使う側は・・?
開発する側は・・・?
- OSSを利用すると,ゼロから開発するより,OSSをベースに改良を進められる
- 組み込み分野でOSSを利用する動き(Linuxを組込用OSにした例)
- 他社との共同開発ができるので開発コストを低減
- 世界的なソフトウェアの開発への参加→世界最高水準の技術者を育てる
その他のお話
- Mozillaのテクノロジを利用している企業やソフトウェアが多く存在している
- オープンソース
- オープンな標準
- 選択可能なソフトウェアライセンス
- GPL,LGPLに加えて,MPLというライセンスがある
- トリプルライセンス→3つの中から選べば良い
- マルチプラットフォーム対応
- 国際化対応
- 今度のFirefox3は75言語対応
- 企業が作ってたら:まず英語版→1週間遅れや1ヶ月遅れで日本語版など
- Mozillaの社員は世界全体で150人くらいしかいない
- Firefox3 の開発者・Contributer:500人以上
- 各国のローカライゼーションチーム:75言語で200人ほど
- テストしてる人たち(毎日ビルドされる開発版):2万人
- ベータ版(beta, RC1)利用者:50万人以上
- ダウンロード:5億回
- 拡張機能開発者:3000人
- 拡張機能ダウンロード数:6億回
まとめ
- 新しい技術やビジネスが生まれている
- オープンソースの世界はグローバルで活躍できる場所
- エンジニア一人ひとりが主役
- 英語がしゃべれないなんて関係ない
- 英語がしゃべれないならプログラミング言語でしゃべれ!
- 「私は実際ネスケに行ったとき,英語はしゃべれませんでした.ホワイトボードにif then elseの嵐ですよ」(瀧田氏)
質問項目
- Mozillaの収益モデルは
- 実際にオープンソースソフトウェアが,ミッションクリティカルな分野(人命にかかわったり)に組み込まれたりした事例はあるのか
- リスクマネジメントは課題?
- オープンソースの不具合の責任はどこにあるのか,という問題